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米国人材市場では『Secretaryが減って、Assistantが増えている。』その2つの言葉と業務の違いを説明してみる。

パートナーコンサルタントの渡辺智也です。

先日、米国企業において秘書(Secretary)の需要が激減している、とお伝えしました。そして代わりに、補佐(Assistant)の需要が急増しているとのことです。

秘書の「不要論!?」米国では、この10年秘書人材が激減。代わりに現れてきたのが・・・ - Assistant Magazineに記載があります。

それでは、秘書(Secretary)と補佐(Assistant)の違いは、どこにあるのでしょうか?能町も、セミナーの中で教えていますが、改めて書きますと、外国人上司たちのなかで「Secretary」という言葉には、「Office clerk」というイメージが含まれているという現実です。この言葉には、「一般事務職」という訳を当てることができます。

秘書(Secretary)と一般事務職(Office clerk)。現場では、この二つの職種の業務内容には大きな違いがあります。しかし、彼ら彼女らから見ると、「働く姿勢」がとても似通っているということです。ここで、この二つの職種の違いをご説明します。

「一般事務職(Office clerk)」は、会社によって様々ですが、個人やグループに付くのではなく、部門について補佐をすることがメインになります。仕事内容は、資料作成がメインとなり、部門で必要な資料(数字報告等)を作成等を行います。電話対応や来客対応も行いますが、部門全体がスムーズに業務遂行できるように動きます。正確にミス無く業務を遂行することが一番大切になってきます。

それに対して、秘書(Secretary)は、企業の役員や社長などの直接付いて補佐を行う業務です。場合によっては、複数人に対して一人~数人が付くこともあります(グループ付き)。主な業務は、「役員のスケジュール調整、出張や宿泊手配」「書類作成、訪問先の情報収集」「会議議事録作成」などです。また、他の事務職よりも特に先回りして行動が出来る人、臨機応変に対応が出来る人が求められます。

ただ、この二つの職種に共通する要素は、「働く姿勢」にあると書きました。特に、「就業時間にたいする姿勢」「業務に対する責任と関わり方」が似通っているということです。この職種に関わる人たちには、業務に対しての関わりが「9時ー5時就業の働き方」が基本スタイルとなります。「勤務時間内のみ業務に対してコミットメントをしている人」であり、「戦略的な視点ではなく、戦術的な視点で、業務遂行をする人」のことです。

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(引用:米国ニュースメディア「THE BLADE」彼女は「Executive Assistant」)

それに対して、補佐(Assistant)とは、「必要に応じて一日24時間」の働き方が基本スタイルとなります。なぜなら、戦略的業務遂行者として「上司のパートナー」となった働き方をしているからです。長時間勤務労働をするヘビーワーカーというニュアンスではありません。

業務上で「上司のパートナー」となっている状態とは、たとえば、「上司が何が欲しいのか、何を考えているのか、何に対して行動するのか」を予測することを大切にしています。会社全体で起こっていることを把握し、優先順位を上司のために整理もします。補佐(Assistant)は、場合によって「上司にどんなことについて思考すべきか、何に対して行動を取るべきか」についても提案したり、ときにはアドバイスといった形式で伝えるときもあります。さらに、上司を代行して発言したり、決定を出したりもするリーダーシップを発揮します。補佐(Assistant)は、社長や役員よりも大変な仕事のときもあるでしょう。また、ときに会社に対して大きな影響力を持つこともあり得るということです。

現在、社長付き、取締役付き、本部長付きなど、どんなポジションに付いているか否かよりも、彼ら彼女らとの「業務への関わり方」により、Secretaryなのか、Assistantなのかが分かれます。

「名は体を現す」という言葉があります。単なる「ネーミングの違い」から・・・それを理由としてしまうと、時代の変化に遅れてしまいます。上司との関わり方や組織の中での役割の変化、つまり「働き方の変化」から来ているものと理解して欲しいです。これが、変化に対応する考え方です。すでに米国では、現実となっています。

皆さんは、この現実をどのように受け止めますか?

実際の職場では、ネーミングはともかく、「働く内容」が「Secretaryか。Assistantか。」の二極化が起こっています。受講生の方たちの様子をお聞きしても、過去と現在の業務遂行力とコミュニケーションによる信頼の度合いによって分かれてきています。

皆さんの職場では、どうでしょうか。また秘書をお持ちの方。あなたはどんな秘書を求めていますか?現在の秘書にどんなスキルと考え方を身につけてもらいたいですか?パートナーと言える秘書を持っていますか?それを意図して採用(登用)していますか?

上記で紹介した思考と行動を持つ「Assistant」をチームに加えたい方は、おそらく多いのではないでしょうか。私が独自で行なった10名の経営者たちへのヒアリングでも、そのような人材が採用できるなら積極活用したい、という言葉をいただいています。

秘書アシスタントの方も、彼ら彼女らを雇用するエグゼクティブたちも、ぜひ再考いただきたいテーマです。

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